きいの確定役

読書感想 その他考察や紹介など

ヴェールドマン仮説 マジメな考察と見解 [VR探偵の妹が優秀すぎたんだ]

お気に入りの書店がありまして先日大学の授業終わりに久しぶりに立ち寄りました

東京ドーム○○個分と例えても大袈裟ではないくらいに超大型の書店でして、ちんけなスーパーの地下にその世界は広がっているのです

立ち寄るたびに新たに気になる作品やら読んでいる続編なんかを手に取ってしまうんですよね

しかもこの書店さん何がやばいかというと基本的に置かれている文庫本などは立ち読みが許容されているのです(驚愕

正確には座り読みですね 座り読みするためのチェアがそこらへんに並べられているわけです

そのくせ、お客さんがたくさんおられるってわけでもなくて私にとっての超穴場店舗です^^

 

雑談終 本編へ

 


 

 

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ヴェールドマン仮説  

 

あらすじ

おじいちゃんが推理作家で、おばあちゃんが法医学者、

父さんが検事で母さんが弁護士、お兄ちゃんが刑事で

お姉ちゃんがニュースキャスター、弟が探偵役者で妹はVR探偵。

名探偵一家のサポートに徹するぼくだけれど、

ある日強烈な「首吊り死体」を発見し、連続殺人事件を追うことに。

被疑者は怪人・ヴェールドマン。

布に異様な執着を示す犯罪スタイルからそう呼ばれている__。

 

本作は戯言シリーズをデビュー作としてその他大ヒット作である物語シリーズなどを生み出した西尾維新による著作100冊目

主人公ぼくがヴェールドマンと呼ばれる連続怪死事件の犯人を見つけ出すミステリー小説

 

※以下ネタバレ含

 

 


考察

本作いい意味で主人公が優秀ではなく優秀な(?)家族がヒントをくれるということもあまりなく事件推理自体はほぼ最後まで進展することはありませんでした。このこともあり我々読者にとっては非常に難解な物語であったと思いますが気になった点や目をつけるべきであっただろう場面やセリフを見つけ出しある程度私なりに補完しましたのでそれについてここで紹介します

 

ヴェールドマンとは何者だったのか

この作品は主人公を視点としながら推理を進めていくパート(第一幕〜終幕)とその間に差し込まれているヴェールドマンによる語りパート(幕間I~幕間X)によって構成されていた。

幕間前半部分ではヴェールドマン(以降彼女と呼ぶ)の幼少期の境遇や心境が語られており、彼女の母親が相当にやばい人間であったこと。そして、幕間IIIまでで母親による扱いに耐えられなかった彼女が10歳の誕生日を迎えるとともに母親を殺害したこと。そしてその時に生きているという実感を得たということが描かれていた(殺害の快楽??(幕間IX)

 

彼女の標的がひとりっ子の片親家庭であることが第十三幕にて判明したことから彼女自身がひとりっ子で母親がシングルマザーであった仮定しても問題はないでしょう。では何故、彼女は自身を我々と呼んでいるのか。それは社会にいるであろう彼女と同じ境遇であるものを指し、そしてそのもの達を救い出すために犯行を繰り返したのだと推測。彼女は同じ仲間を意識の通じ合う一つの集合体のようなものであると思い込んでいたではないだろうか。

また、誕生に執着があった彼女にとって誕生日に起こすその行為は儀式のようなものであったのかもしれない。

幕間VIIIでの東ドイツに存在する東西ベルリンについてはなんとなく彼女たち自身の境遇や居場所なんだと比喩しているように捉えれないことはないですね。

 

推測ポイント

 

幕間V 8行目

唯一の朝の番組ですものね・・・

普通男性がこの口調を使うだろうか(ないと言わせてください)

この部分でヴェールドマンが女性であることは読み取れなくもない

 

また、幕間VIにて吹奏野家VR探偵などの話をしていることからお互いに少なくとも面識があったのではないかということが読み取れる

 

そしてかなり直前ではありますが幕間Xの首吊り子ちゃん殺害のプランについての口述と名探偵というワードについてもかなり大きなヒントとなっていますね

 

以上が注目したポイントでしたが最後を除いてほとんどこじつけのようなものであるので確信してヴェールドマンを当てることはほぼ不可能であったと思います

ほかにも推測となるようなポイントありましたら教えていただきたいです

 

感想

本作も西尾維新らしさを感じ取ることができました。と、言いますのも犯人であるヴェールドマンを初見で推理するのは非常に難解な作品となっていました。デビュー作である戯言シリーズのようなある意味理不尽さを押し付けられました。

登場人物もそれなりに多くそれぞれ非常に特徴的なキャラであるのも西尾作品ではあるあるですね。上のあらすじにもある通り、ぼくを除くぼくの家族はみな特殊な役職を勤めており、そんななかぼくは25歳で高卒、収入を得られるような職にはついておらず家族のサポートをしているような立ち位置となっています。何故だかこの部分にも戯言シリーズの主人公’ぼく’とのシンパシーを感じてしまいました。ですがこの作品のぼく戯言シリーズ’ぼく’のような実は強キャラといったわけでもなく普通の凡人でした。ぼく穿った推理をしないためそういう意味では読者である我々と同様の視点や考えのもと推理を楽しめる点が非常に良かったです(事件推理を進める決定的な部分がほぼないため推理はほぼ不可能であるが...

この作品はなにを伝えたかったんでしょうか。西尾作品の世界を純粋に楽しむだけ?推理路線はあまり進むことがないながらたくさんの登場人物や複雑な家系。物語シリーズのような単純に西尾維新による趣味によって書かれたものだったんでしょうか。

これが完結であるのが続編があるのかについては書かれていないのでまだなんとも言えませんが非常にもどかしさが残る作品であったと感じています。

 

 

終わりに

今回は西尾維新著作100冊目ヴェールドマン仮説について書かせていただきました。

今後も最新作や過去作について書きますのでぜひともお願いします。

では、今回はここらへんで〜^^